マンション購入か賃貸か?後悔しない判断基準【2026年版】
「このまま家賃を払い続けていいんだろうか」。そう思いはじめてから、もう何年か経っている——そんな方は少なくありません。買ったほうがいい気もするし、買って後悔したという話も耳に入ってくる。決めきれないまま、また更新の時期が来ます。
「賃貸か購入か」に、誰にでも当てはまる正解はありません。損得を分けるいちばん大きな要因は、年収でも金利でもなく、その家に何年住むつもりかです。購入時の諸費用は住んだ年数で割られるため、短く住むほど1年あたりが重くなります。そして購入では、ローン返済とは別に管理費・修繕積立金(全国平均を足すと月24,557円)と固定資産税が上に乗ります。
- 正解は住む年数で変わる
- 月々の額だけで比べない
- 買い時は自分の側で決まる
マンション購入か賃貸か、迷ったら「何年住むか」から決める
先に結論をお伝えします。「賃貸か購入か」に、誰にでも当てはまる正解はありません。 そして損得を分けるいちばん大きな要因は、年収でも金利でもなく、その家に何年住むつもりかです。
理由は単純です。購入には、仲介手数料・登記費用・ローンの事務手数料・火災保険料といった、最初に一度だけかかるお金があります。この費用は、住んだ年数で割られます。15年住めば15年で割れますが、3年で手放せば3年で割ることになる。同じ物件でも、短く住むほど1年あたりの負担は重くなります。
賃貸はその逆です。出ていくのは自由で、初期費用も購入ほど大きくありません。代わりに、払った家賃は手元に何も残りません。住み続けるかぎり、支払いに終わりが来ないのが賃貸の性質です。
つまり比べるべきなのは「賃貸と購入」という2つの商品ではなく、この2つの性質のどちらが、自分のこれからの暮らしに効くかです。出発点は物件でも相場でもなく、ご自身の居住年数の見通しにあります。

- 何年住む見通しか — 転勤・転職・進学など、住む場所が変わりうる予定を先に洗い出します
- 月々をどちらの器で見ているか — 家賃と同じ額のローン返済でも、購入では管理費・修繕積立金・固定資産税が上に乗ります
- 数年後の家族構成 — 人数が変われば必要な広さが変わります。広さは住み替えのきっかけになりやすい項目です
「何年住むか」なんて分からない、と思われるかもしれません。それでかまいません。分からないということ自体が、判断の材料になります。 見通しが立たない時期に無理に決めなくてよい、という結論もあるからです。
なぜ「賃貸か購入か」に唯一の正解が無いのか
購入と賃貸では、そもそも手に入るものが違う
購入で手に入るのは、ひとつは資産です。ローンの返済のうち元本にあたる部分は、支払いであると同時に自分の持ち分になります。もうひとつは返済額の固定化で、金利が変わらないタイプを選べば、20年後も30年後も返済額は変わりません。家賃のように値上げを通知されることがない、という安心感がここにあります。
賃貸で手に入るのは身軽さです。転勤が決まれば出られますし、家族が増えれば広い部屋へ移れます。設備が壊れても、原則として直すのは貸主です。将来どうなるか分からない時期に、選択肢を開いたまま持っておける——これは金額に換算しにくい価値です。
得られるものがこれだけ違うので、そもそも同じ土俵で「どちらが得か」を出すこと自体に無理があります。

損得は「金利・価格・住む年数」のかけ算で動く
もうひとつ、どちらが得かが確定しない理由があります。購入の損得は、借りるときの金利と、そのときの物件価格と、住む年数の3つのかけ算で決まるからです。どれかひとつが変われば結論も変わります。
同じマンションでも、金利が低い時期に買った人と高い時期に買った人では総支払額が違います。10年住んだ人と30年住んだ人でも違います。「マンションは買うべき」「賃貸のほうが得」と言い切る話は、この3つのどれかを固定して話しています。
世の中全体の数字を見ても、どちらかに大きく振れてはいません。総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、住宅全体に占める持ち家の割合(持ち家住宅率)は60.9%で、1993年からの30年間、60%前後でほぼ横ばいです。持ち家と借家の比率は、この30年ほとんど動いていません。

資産としての見方をもう少し詳しく知りたい方は、中古マンションの資産価値は何で決まる?もあわせてご覧ください。
費用で比べるときに見る3つのポイント
1. 月々の支払い額だけで比べない
「家賃12万円なら、月12万円のローンが組めるはず」——ここでつまずく方がとても多いです。
同じ12万円でも、中身が違います。家賃は全額が「住む対価」で、払い終わっても何も残りません。ローン返済は元本と利息に分かれていて、元本の部分は自分の持ち分になります。この点では購入が有利です。
ただし、購入では月々の返済とは別に、管理費・修繕積立金・固定資産税がかかります。 ここを勘定に入れないまま「家賃と同じ額なら大丈夫」と判断すると、入居後に足が出ます。比べるなら、家賃 対 「返済+管理費+修繕積立金+税金を12で割った額」です。

2. 購入側に毎月・毎年のってくる固定費
その固定費がどのくらいかは、公的な調査に数字があります。国土交通省の令和5年度マンション総合調査によると、1戸あたり1か月の平均は管理費が11,503円、修繕積立金が13,054円(いずれも駐車場使用料等からの充当額を除く額)。単純に足すと月24,557円になります。
これは住宅ローンの返済とはまったく別に、住んでいるかぎり毎月出ていくお金です。さらに毎年、固定資産税・都市計画税がかかります(金額の目安は中古マンションの固定資産税はいくら?にまとめました)。購入時に一度だけかかる諸費用については中古マンションの諸費用はいくら?をご覧ください。
3. 賃貸側にも、家賃以外の費用はある
一方で賃貸にも、家賃だけでは見えない出費があります。契約によっては更新料や更新事務手数料がかかりますし、住み替えるたびに敷金・礼金・仲介手数料・引っ越し代が発生します。「引っ越しが多い暮らし方」は、それ自体がコストです。
費目を並べると、両者の違いはこうなります。
| かかる時期 | 購入(中古マンション) | 賃貸 |
|---|---|---|
| 入居前に一度だけ | 頭金・仲介手数料・登記費用・ローン事務手数料・火災保険料 など | 敷金・礼金・仲介手数料・火災保険料 など |
| 毎月 | ローン返済(元本+利息)/管理費/修繕積立金 | 家賃/共益費 |
| 毎年 | 固定資産税・都市計画税 | — |
| 数年ごと | 専有部分の設備の交換(給湯器・エアコンなど) | 更新料・更新事務手数料(契約による)/住み替えのたびの初期費用 |
| 住まなくなるとき | 売る・貸す(価格や借り手は市況しだい) | 解約して退去する |
※一般的な費目の並びです。金額も有無も、物件・契約・地域によって異なります

参考までに、国土交通省の令和6年度住宅市場動向調査では、住宅ローンについて「非常に負担感がある」「少し負担感がある」と答えた既存(中古)集合住宅の取得世帯が42.8%、家賃について同じように答えた民間賃貸住宅の入居世帯が52.9%でした。
この2つの数字は、別々の世帯を対象にした調査の結果です。住宅の種類ごとに調査の対象地域も異なります。同じ人が購入と賃貸の両方を経験して比べたものではないので、「購入のほうが負担が軽い」と読むことはできません。負担感は収入・借入額・家賃の水準によって変わります。
「今が買い時か」は、2つに分けて考える
買い時をめぐる情報は、たいてい「金利が上がる前に」「価格が下がるまで待つべき」のどちらかです。どちらの話も聞けるので、いつまでも決まりません。
整理のしかたはひとつです。判断材料を「自分で動かせないもの」と「自分で動かせるもの」に分けて、後者を軸にします。
自分で動かせない要因——金利と物件価格
金利も価格も、自分ではどうにもなりません。そして、この先どう動くかを正確に読むことは誰にもできません。 私どもは不動産の仲介を仕事にしていますが、来年の金利も再来年の相場も分かりません。分からないものを判断の軸に置くと、待つ理由はいくらでも作れてしまいます。
この2つについてできるのは、予測することではなく、「どちらに転んでも致命傷にならない借り方にしておく」ことだけです。返済額に余裕を持たせる、金利タイプを自分が耐えられるほうで選ぶ——手当てはここにあります。

自分で動かせる要因——ライフステージと貯蓄
一方で、自分の側の条件は動かせます。何年住む見通しが立ったか。頭金はいくら用意できたか。収入は安定しているか。家族の人数は決まったか。買い時とは相場の話ではなく、この4つが揃ったときのことです。
実際に買った方が何を決め手にしたかにも、それは表れています。国土交通省の令和6年度住宅市場動向調査で、既存(中古)集合住宅を取得した世帯に住宅の選択理由(複数回答)を聞くと、最も多いのは「価格/家賃が適切だったから」で69.1%。次いで「住宅の立地環境が良かったから」42.2%、「交通の利便性が良かったから」35.5%でした。相場が上がるか下がるかではなく、「自分の予算に合っていたか」が選ばれる理由になっています。

物件が動きやすい時期を知りたい方は、中古マンションが出やすい時期もご覧ください。これは相場の予測ではなく、在庫の増える季節の話です。
購入して後悔しやすい3つのパターン
後悔を避ける近道は、先に後悔した人がどこでつまずいたかを知っておくことです。私どもが相談をお受けしてきた中で多いのは、次の3つです。
1.「もっと調べればよかった」——建物と管理を見ていなかった
中古マンションで後から効いてくるのは、部屋の中よりも建物と管理の状態です。修繕がきちんと計画されているか、積立金が貯まっているか、管理組合が機能しているか。ここは内覧では見えません。
そして、ここを見ずに決める方は少なくありません。令和5年度マンション総合調査によると、マンションを選ぶときに入居後の共用部分の維持管理をどの程度考慮したかについて、「考慮した」が43.5%に対して「考慮しなかった」が54.8%でした。購入時に考慮した項目としては「駅からの距離などの交通利便性」が71.6%、「間取り」が61.4%と上位に並びます。立地と間取りは見るけれど、管理は見ていない——これが実情です。

確認すべき項目は中古マンション購入の注意点7つにまとめています。
2.「思ったより維持費がかかった」——上がる前提で組まれている
もうひとつ多いのが、管理費・修繕積立金が入居後に上がることを知らずに買ったケースです。
修繕積立金の積み方には、毎月同じ額を積む「均等積立方式」と、年数が経つにつれて段階的に上げていく「段階増額積立方式」があります。同じ調査では、段階増額積立方式が47.1%、均等積立方式が40.5%。つまり半数近くのマンションは、将来の値上げを前提に金額が決められています。
さらに、計画上の積立額に対して現在の積立額が不足しているマンションが36.6%あります。不足していれば、値上げか一時金の徴収か、工事の先送りのいずれかになります。買う前に長期修繕計画と積立金の残高を確認する理由はここにあります。判断の目安は修繕積立金が高い中古マンションは買っていい?で詳しく説明しています。
3.「暮らしが変わるとは思わなかった」——数年先を織り込んでいなかった
転勤、転職、出産、親の介護。買った時点では想像していなかった変化で、住む場所を変える必要が出ることがあります。
同じ調査では、マンションの区分所有者のうち「永住するつもりである」が60.4%、「いずれは住み替えるつもりである」が17.7%でした。買った人の4割近くは、永住を前提にしていません。 前回調査と比べると永住派は62.8%から60.4%へ減っています。
大事なのは、変化を防ぐことではなく、変化したときに動ける物件を選んでおくことです。駅からの距離、管理の状態、需要のある広さ——売るときにも貸すときにも効いてくるのは、結局この3つです。「一生住む」と決め込まないほうが、かえって失敗しにくくなります。

よくある質問
一律の答えはありません。購入は最初に一度だけかかる費用を住んだ年数で割る仕組みなので、長く住むほど1年あたりの負担が軽くなります。逆に短い期間で手放すと、その費用が重くのしかかります。加えて、借りるときの金利、そのときの物件価格、売るときの相場でも結果は変わります。「何年住むか」の見通しを立てることが、損得を考える出発点になります。
「◯年以上なら買い」と言い切れる数字はありません。購入時の諸費用、金利、その後の価格の動きによって分岐点が変わるからです。ただ考え方としては、購入時にかかった諸費用を住む年数で割った額が、賃貸との差額に見合うかどうかが目安になります。数年で住み替える可能性が高いなら、賃貸の身軽さのほうが向いています。
問題ありません。住宅ローンの審査は世帯の形ではなく、収入の安定性や返済負担率などで判断されます。単身の方に特にお伝えしているのは、将来貸せる・売れる物件を選んでおくことです。結婚や転勤で住まなくなる可能性が、ご夫婦よりも読みにくいためです。駅に近く、需要のある広さの部屋であれば、住まなくなったときの選択肢が残ります。
金利や価格の先行きは誰にも読めないので、そこを待つ基準にすると決まりません。判断は「自分で動かせる要因」——何年住む見通しが立ったか、頭金が用意できたか、収入が安定しているか、家族の人数が決まったか——で行うほうが現実的です。これらが揃っていないうちは、焦って決めないほうがよいと考えています。
借りにくさが指摘されているのは事実です。国土交通省の資料では、賃貸人(大家等)を対象とした令和3年度の調査で、高齢者の入居に対して約7割が拒否感を持っているという結果が示されています(回答187団体)。入居制限を行う最も該当する理由としては「居室内での死亡事故等に対する不安」が90.9%でした(こちらは入居制限を行っている76団体の回答です)。一方で、高齢単身世帯の32.2%は実際に借家に住んでいます(令和5年住宅・土地統計調査)。また、住宅確保要配慮者の入居を支援する改正住宅セーフティネット法が令和7年10月1日に施行されています。借りられないわけではないが、選べる部屋は狭くなる——この前提で考えておくのが現実的です。
まとめ——「どちらが得か」ではなく「何年住むか」から考える
- 万人共通の正解はありません — 購入と賃貸では手に入るものが違い、損得は金利・価格・住む年数のかけ算で動きます
- 出発点は居住年数の見通し — 購入の初期費用は住んだ年数で割られます。短く住むほど1年あたりが重くなります
- 月々の額だけで比べない — 購入では返済とは別に、管理費と修繕積立金の平均を足すと月24,557円、さらに固定資産税がかかります
- 買い時は自分の側で決まる — 金利と価格は読めません。何年住むか・頭金・収入の安定・家族の人数が揃ったときが買い時です
迷っている方にいちばんお伝えしたいのは、「決められない」も立派な結論だということです。見通しが立たない時期に無理に買う必要はありませんし、見通しが立ったなら、相場が上がるか下がるかを待つ理由もありません。順番は、相場ではなくご自身の暮らしのほうからです。
この記事は、賃貸と購入を比べるときの一般的な考え方の説明です。実際にどちらが有利になるかは、物件・借入条件・居住年数・税制によって変わります。具体的な返済額や借入可能額は金融機関に、固定資産税・都市計画税の税額は物件のある市区町村(大阪市内であれば市税事務所)に、管理費・修繕積立金の改定予定は管理会社・管理組合にご確認ください。




