中古マンションが出やすい時期は3月|大阪の実データ2026
ポータルサイトを開いても、ぴんとくる物件が並ばない。「そのうち出物が増える時期が来るのでは」と思って、検索の手が止まる。中古マンションを探しはじめた方から、実際によくうかがうお話です。
大阪市の中古マンションで新しく売りに出る数がいちばん多いのは3月(月平均1,977件)、いちばん少ないのは12月(1,619件)です。ただし全期間の月平均1,854件に対して差は359件、1.2倍ほどにとどまります。一方で買い手の動きは3月に平均の1.3倍まで跳ね上がります。出物が増える月は、競争も増える月です。
- 最多は3月・最少は12月
- 山と谷の差は2割ほど
- 3月は買い手が3割増
大阪市でいちばん出物が増えるのは3月。ただし差は思ったほど大きくない
先に結論をお伝えします。大阪市の中古マンションで新規登録がいちばん多い月は3月、いちばん少ない月は12月です。
公益社団法人近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ)が毎月公表している月例マンスリーレポートから、大阪市内全域の中古マンションの新規登録件数を直近3年分(2023年9月〜2026年8月の36か月)拾い、月ごとに平均すると、3月が1,977件、12月が1,619件でした。
ここからが大事なところです。この差は359件、倍率にして1.2倍にすぎません。 36か月の全期間平均は月1,854件。3月は平均より6.6%多いだけで、3月と12月を除く10か月はすべて平均の±5%に収まります。「出やすい時期を待てば、選べる物件がぐっと増える」というほどの差は、少なくとも大阪市の数字には出ていません。
そして、もうひとつ。出物が増える3月は、買い手がもっと増える月でもあります。同じ資料で成約件数を見ると、3月は平均の1.3倍。出物が7%増えるあいだに、買う人は31%増えます。

- 最多は3月、最少は12月 — 大阪市内全域の中古マンション新規登録・36か月平均
- 山と谷の差は1.2倍 — 月2,000件近い母数に対して359件。待って増える量は限られます
- 3月は競争も増える — 出物は7%増、買い手は31%増。増え方が釣り合っていません
この記事の件数は、近畿レインズが公表している大阪市内全域(24区)の中古マンションの集計です。区ごと・駅ごと・広さごとに見れば動きは変わります。あくまで「市全体としてどう動くか」の目安としてお読みください。
なぜ新着の数に波があるのか——引っ越しの山は3月、出物の山はなだらか
波が生まれる理由そのものは、はっきりしています。売りに出す理由の多くが、人の移動につながっているからです。転勤、進学、結婚、住み替え。売主側のライフイベントが動けば、その手前で家を手放す判断が起きます。
では、人の移動はいつ増えるのか。総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告(月報)で、全国の市区町村間移動者数を12か月分並べると、山の形がくっきり出ます。
| 月 | 市区町村間移動者数 |
|---|---|
| 2025年7月 | 39万8,417人 |
| 2025年8月 | 34万8,602人 |
| 2025年9月 | 36万7,877人 |
| 2025年10月 | 37万9,751人 |
| 2025年11月 | 30万9,853人 |
| 2025年12月 | 35万8,171人 |
| 2026年1月 | 32万8,136人 |
| 2026年2月 | 35万6,713人 |
| 2026年3月 | 91万6,197人 |
| 2026年4月 | 67万7,740人 |
| 2026年5月 | 36万4,443人 |
| 2026年6月 | 38万3,643人 |
※総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」月次結果より作成
3月の移動者数は91万6,197人。3月・4月を除いた10か月の平均(35万9,561人)の約2.5倍です。 4月も1.9倍近くあります。人の移動という意味では、3月・4月は明らかに別格の月です。

それなのに、出物は7%しか増えない
ここに、この記事でいちばん面白い食い違いがあります。引っ越しは3月に2.5倍になるのに、中古マンションの新規登録は3月でも7%しか増えません。 理由は、売却にかかる時間にあります。
家を売ると決めてから引き渡しまでは、査定、媒介契約、売却活動、内覧対応、売買契約、決済と段階を踏みます。とくに売却活動の期間は制度として区切られていて、宅地建物取引業法は専任媒介契約の有効期間について「三月を超えることができない。これより長い期間を定めたときは、その期間は、三月とする」と定めています(第34条の2第3項)。1社に任せる契約は、必ず3か月ごとに区切りが来るということです。
つまり、4月に引っ越す人が売りに出すのは4月ではありません。 前年の秋から冬にかけて動き出し、年明けに売り出す——当社が現場で見ている限りでも、この流れが目立ちます。3月に集中する「人の山」は、売り物件としては数か月前へ、しかもばらけて現れます。だから出物の波は、人の移動の波よりずっとなだらかになります。

季節と関係のない売却も、かなりの割合を占める
もうひとつの理由は、季節性を持たない売却が一定数あることです。相続で引き継いだ住戸、住宅ローンの見直し、離婚や施設入居に伴う売却、投資用の出口。これらは年度や学期とは無関係に発生します。
3年分の数字で、3月と12月を除けばどの月も平均の±5%前後に収まっていたのは、この「季節と無関係な層」が土台を作っているからだと考えると説明がつきます。待っていれば市場ががらりと変わる、という性質のものではありません。
月別の実数で見る、大阪市の新規登録件数
実際の数字を並べます。近畿レインズの月例マンスリーレポート(大阪市内全域・中古マンション)から、2023年9月〜2026年8月の36か月を月別に平均したものです。指数は、全期間平均の月1,854件を100としたときの水準です。
| 月 | 新規登録件数(3年平均) | 指数 |
|---|---|---|
| 1月 | 1,848件 | 100 |
| 2月 | 1,837件 | 99 |
| 3月 | 1,977件 | 107 |
| 4月 | 1,930件 | 104 |
| 5月 | 1,861件 | 100 |
| 6月 | 1,938件 | 105 |
| 7月 | 1,894件 | 102 |
| 8月 | 1,800件 | 97 |
| 9月 | 1,881件 | 101 |
| 10月 | 1,868件 | 101 |
| 11月 | 1,795件 | 97 |
| 12月 | 1,619件 | 87 |
※近畿圏不動産流通機構「月例マンスリーレポート」より、大阪市内全域の中古マンション新規登録件数を集計

読み取れることは3つ
1つめは、12月だけがはっきり落ちること。 指数87は、他のどの月とも離れた谷です。年末は売主も買主も動きが止まり、年明けに仕切り直す——この感覚は数字にも出ています。逆に言えば、12月に出ている物件は「年内に決めたい」事情を抱えていることがあります。
2つめは、春の山が3月・4月・6月に分かれること。 3月107、4月104、6月105。世間で言われる「春が繁忙期」は当たっていますが、山は1つではなく、初夏まで緩やかに続きます。
3つめは、「1〜3月がねらい目」という通説が、大阪市の数字では確かめられないこと。 1月は指数100、2月は99。どちらも平均並みです。3月だけが少し高い、というのが実態です。
秋についても同じです。9月101、10月101、11月97。「秋は物件が増える」という説明をよく見かけますが、大阪市の中古マンションでは平均並みでした。なお、この指数は3年分の単純平均で、新規登録が年々増えている分を調整していません。増加トレンドを差し引くと秋の3か月はもう少し高く出ますが、それでも3月ほどの山にはなりません。
「出やすい時期」と「買いやすい時期」は別物です
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。出物が増える月を狙うと、買い手がもっと増えている月に飛び込むことになります。
同じ資料から、今度は成約件数——実際に売買が成立した数——を同じ36か月で平均しました。
| 月 | 成約件数(3年平均) | 指数 | 新規登録に対する成約の割合 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 384件 | 85 | 20.8% |
| 2月 | 476件 | 106 | 25.9% |
| 3月 | 588件 | 131 | 29.7% |
| 4月 | 452件 | 100 | 23.4% |
| 5月 | 415件 | 92 | 22.3% |
| 6月 | 499件 | 111 | 25.7% |
| 7月 | 424件 | 94 | 22.4% |
| 8月 | 382件 | 85 | 21.2% |
| 9月 | 447件 | 99 | 23.8% |
| 10月 | 469件 | 104 | 25.1% |
| 11月 | 435件 | 97 | 24.3% |
| 12月 | 425件 | 94 | 26.3% |
※同レポートの成約件数より作成。指数は全期間平均の月450件を100とした水準。右端は各月の成約件数合計÷新規登録件数合計(36か月分を合算して算出)

買い手の動きは、出物の動きより大きく振れる
新規登録の山と谷は1.2倍でした。成約は3月588件に対して8月382件で、1.5倍の開きがあります。 出物の動きより、買い手の動きのほうが季節に大きく振られるということです。山と谷の開きで比べると、出物は22%、買い手は54%。振れ幅そのものが2倍以上違います。
右端の列は、その月に新しく出た数に対して、どれだけ成約したかの割合です。年間を通した平均は24.3%。3月は29.7%まで上がり、1月は20.8%、8月は21.2%まで下がります。 同じ1件の物件を見に行ったとき、後ろに並んでいる人の数が月によって違う、と考えていただくと近いと思います。
この割合は、その月に出た物件がその月のうちに決まった率ではありません。売り出しから成約までには数か月かかるため、分母と分子の物件は一致しません。需要と供給のバランスの目安としてお読みください。
だから「3月まで待つ」は、必ずしも得になりません
3月は、確かに選択肢が最も多い月です。同時に、内覧の予約が取りにくく、申込みが重なりやすく、価格交渉が通りにくい月でもあります。選べる物件が7%増える代わりに、買う人が31%増える。 この交換条件を引き受ける価値があるかどうかは、人によって答えが変わります。

逆に、1月と8月は、新規登録に対する成約の割合が20.8%・21.2%と年間で最も低く、競争がいちばん薄い月です。じっくり見て、条件を詰めて、必要なら価格の相談もする——そういう買い方に向いている時期です。価格の話をどう切り出すかは中古マンションの値引き交渉にまとめています。
2026年のいま、大阪市はどう動いているか
当社は毎営業日の朝、大阪市24区の売出し中の中古マンションの一覧をレインズから取得して記録しています。直近の数字をそのままお伝えします。
売出し中の在庫は、2026年6月30日時点で3,865件、9月15日時点で4,101件。 2か月半で236件、6.1%増えました。新しく出る数より、売れたり取り下げられたりする数が少ない状態が続いていて、選べる物件の総数としては、いま増えている局面です。

実は、月の違いより曜日の違いのほうが大きい
同じ記録から、もうひとつ実用的なことが分かりました。新着が一覧に載る数は、曜日によって2倍ほど違います。
2026年7月1日〜9月15日のうち、前日からちょうど1日分の差が取れた49日について、曜日ごとに平均したものです。
| 曜日 | 1日あたりの新着(当社記録) | 指数 |
|---|---|---|
| 火曜 | 80件 | 134 |
| 土曜 | 69件 | 117 |
| 金曜 | 67件 | 113 |
| 日曜 | 46件 | 77 |
| 月曜 | 39件 | 66 |
※当社が毎営業日の朝に取得した大阪市24区の売出し一覧で、前日の一覧に無かった物件として現れた件数の平均。指数は49日の平均59件を100とした水準。再登録・情報更新によるものを含むため、近畿レインズが公表する新規登録件数とは数え方が異なります。水曜は当社が定休で記録がなく、木曜は前日比が2日分になるため、この集計から除いています

火曜は月曜の2.05倍。 週明けの月曜と日曜が薄く、火曜・金曜・土曜に厚い、という形です。不動産会社の営業日と、週末の内覧に向けた準備のタイミングが反映されているのだと思います。
数か月単位で時期を待つより、火曜・金曜・土曜の朝にポータルサイトを開くほうが、実際の手応えとしては差が出ます。 母数49日の短い記録なので断定はできませんが、待ち方を変えるヒントにはなるはずです。
時期別の動き方——競争が厚い月、ゆるむ月、そして12月
時期の性格が分かったら、次は動き方です。同じ物件を見ても、月によって取るべき行動が変わります。
競争が厚い時期(2月・3月・6月・10月)に探すなら
- 内覧は「出た日のうち」に申し込む — 良い条件の住戸は、週末を待たずに申込みが入ることがあります
- 住宅ローンの事前審査を先に通しておく — 申込みが重なったとき、審査済みかどうかで順番が変わることがあります
- 値引きは前提にしない — 競合がいる場面では、価格交渉が決定打を失う原因になります
新規登録に対する成約の割合が年間平均の24.3%を超え、しかも成約件数そのものが平均を上回っているのが、この4か月です。なかでも3月は29.7%と突出しています。判断のスピードがそのまま結果になる時期で、「週末に家族で見てから決めます」が通りにくいと思ってください。だからこそ、条件の整理と資金の準備を先に済ませておく価値があります。段取りの全体像は中古マンション契約の流れ7ステップをご覧ください。
競争がゆるむ時期(1月・8月)に探すなら
- 1件あたりに時間をかける — 同じ物件を時間帯を変えて2回見る、といった贅沢ができます
- 売り出しから時間が経った物件を狙う — 3か月以上動いていない物件は、媒介契約の更新時期にあたることがあります
- 価格の相談は根拠とセットで — 周辺の成約事例を示せると、話が進みやすくなります
1月と8月は、競合が少ないぶん、こちらの条件を通しやすい時期です。新規登録に対する成約の割合が20.8%・21.2%と年間の底で、同じ物件を見に行っても後ろに並ぶ人が少なくなります。
12月は「競争が薄い月」ではありません
売主側は「年内に決めたい」で動きやすい月ですが、買う側から見ると話は別です。出物が年間で最も少ないので閑散期に見えて、新規登録に対する成約の割合は26.3%、3月に次ぐ年間2位なのです。
ただし、買い手が増えるからではありません。成約件数そのものは425件・指数94で、平均を下回っています。買い手より出物のほうが大きく落ちるため、需給が締まって見えるだけです。選べる母数はいちばん少ないのに、後ろに並ぶ人は減らない——12月はそういう月だとお考えください。
どの時期にも共通して効くこと
結局のところ、時期より効くのは「出たときに動ける状態かどうか」です。希望条件が固まっていない、予算の上限が決まっていない、審査を通していない——この状態だと、3月に物件が増えても、増えた分に手が届きません。
探し方の手順そのものは中古マンションの探し方5ステップに、見落としやすい確認事項は中古マンション購入の注意点にまとめています。

よくある質問
「探しはじめる時期」に最適解はありません。大阪市の新規登録件数は、最も多い3月と最も少ない12月で1.2倍しか違わないためです。むしろ、条件整理と住宅ローンの事前審査には当社の経験で1か月前後かかることを考えると、動きたい時期の2〜3か月前から準備を始めるほうが結果に効きます。準備が終わっていれば、どの月に良い物件が出ても対応できます。
増えますが、7%ほどです(36か月平均で、平均1,854件に対し3月1,977件)。同じ3月に買い手は平均の1.3倍に増えるため、選択肢が増える以上に競合が増えます。 いま気になる物件があるなら、3月を待つ理由としては弱いと考えています。
同じ資料で大阪市の成約㎡単価を36か月見た限りでは、月ごとにはっきりした季節性は出ていませんでした。ただし買い手が少ない月ほど、価格の相談はしやすくなります。 新規登録に対する成約の割合は、1月20.8%、8月21.2%と年間で最も低い水準です。時期そのものより、売り出しからの経過期間のほうが効きます。
この記事の数字は大阪市内全域の集計です。同じ36か月で近畿圏全体の新規登録件数を見ると、最も多いのは3月(6,314件)、最も少ないのは12月(5,118件)で、差は1.2倍。山も谷も大阪市と同じ月に来て、開き方もほぼ同じでした。近畿圏の中古マンション市場では、季節による出物の差は思ったより小さいとお考えください。
まとめ:時期を待つより、いつでも動ける状態をつくる
- 出物がいちばん多いのは3月(1,977件)、少ないのは12月(1,619件) — 差は359件、1.2倍にとどまります
- 3月は買い手が平均の1.3倍 — 出物が7%増えるあいだに、買う人は31%増えます
- 競争が薄いのは1月・8月 — 新規登録に対する成約の割合が20.8%・21.2%と年間の底です
- 月より曜日のほうが差が大きい — 当社の記録では、火曜の新着は月曜の約2倍でした
「出やすい時期」を待つ発想は、選べる物件が大きく増えることを前提にしています。しかし大阪市の3年分の数字では、その前提は成り立ちませんでした。増えるのは7%、代わりに買う人が31%増える。 これが実態です。
やるべきことは、時期を選ぶことではなく、どの月に良い物件が出ても動ける状態をつくることです。希望条件を書き出し、予算の上限を決め、住宅ローンの事前審査を通しておく。ここまで済ませておけば、3月でも8月でも、出てきた1件に正面から向き合えます。
この記事の件数は、近畿圏不動産流通機構および総務省統計局が公表した集計と、当社が記録した数値をもとにした傾向です。個別の物件がいつ出るかを示すものではありません。最新の市場データは近畿圏不動産流通機構の公表資料を、大阪市内の個別の状況については当社へご確認ください。




