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中古マンション購入

中古マンションリフォーム費用は予算4段階で変わる(2026年)

「中古を買ってリフォームしよう」と決めた瞬間に、いちばん最初につまずくのが費用です。工事の相場が分からないと、物件にいくらまで出せるのかも決まらず、物件探しの一歩目が踏み出せません。

中古マンションリフォーム費用は予算4段階で変わる(2026年)
結論 — この記事の答え

中古マンションのリフォーム費用は、〜100万円/100万〜300万円/300万〜700万円/700万円〜の4段階で、できることの範囲が変わります。いちばん多いのは100万〜300万円未満で39.8%、マンションの平均は316.9万円(住宅リフォーム推進協議会 2025年度調査)。大事なのは、工事を積み上げるのではなく、先に予算の上限を決めて、その帯で何を優先するかを選ぶことです。

この記事でわかること
  • 予算4段階でできること
  • 実際は予算より上振れ
  • 物件価格の上限の決め方
読み終える頃には、自分の予算でどこまで手を入れられるかが分かり、「物件価格+工事費+予備費」の総額から、物件探しの上限額を自分で逆算できるようになります。
公開: 更新: 読了目安:11分
代表取締役 加川 将嗣
この記事の監修者
代表取締役 加川
宅地建物取引士|大阪市で中古住宅の売買仲介を担当

中古マンションのリフォーム費用は「予算4段階」で変わる

先に結論をお伝えします。中古マンションのリフォーム費用は、工事の種類ごとに見積もりを積み上げていくより、先に使える予算の上限を決めて、その帯でできることを選ぶほうが、はるかに早く決まります。

目安になるのが、次の4段階です。

予算の目安現実的にできる工事の範囲
〜100万円内装の表層(壁紙・床)か、水回り設備の交換1〜2か所のどちらか
100万〜300万円内装の一新+水回り2〜3か所の交換
300万〜700万円間取りの変更を含むフルリフォーム(リノベーション)
700万円〜内装を解体して作り直すスケルトンリノベーション

この4段階は、工事別の費用目安(壁紙の張り替え30万〜80万円、システムキッチンの交換50万〜150万円など)を、よくある組み合わせの単位で当社が整理し直したものです。金額の刻みそのものに意味があるのではなく、「どこまで手を入れるか」の段が4つあると捉えてください。

もうひとつ、先に押さえておきたいことがあります。リフォーム前提で中古マンションを買うなら、予算は「物件価格+工事費+予備費」の総額で組むということです。工事にいくら回すかが決まらないと、物件にいくらまで出せるかも決まりません。順番は、総額の上限 → リフォームに回す額 → 物件価格の上限、という逆算になります。

この記事の金額は、一般に公表されている価格帯をもとにした目安です。70㎡前後のファミリータイプを想定しています。設備のグレード・建物の状態・工事の範囲によって実際の金額は大きく変わりますので、最終的には必ずリフォーム会社の見積もりでご確認ください。

段階が上がるほど範囲が広がることを、長さの違う4本の帯で示した概念図

なぜ「工事別」ではなく「予算帯」から考えるのか

理由は、工事を積み上げていく順番だと、実際にかかる費用が予算を上回りやすいからです。この点は、予算を上回った人の割合と、その理由が調査に出ています。

一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の「2025年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査」(2026年2月公表)によると、マンションでリフォームを実施した人(回答者515人・ウェイトバック後496)は、検討時の予算が平均257.7万円だったのに対し、実際にかかったリフォーム費用は平均316.9万円でした。2つの平均の差は、およそ59万円です。

実際にかかった費用の分布は次のとおりでした。

実際にかかった費用(マンション)割合
50万円未満14.5%
50万〜100万円未満9.3%
100万〜300万円未満39.8%
300万〜500万円未満16.3%
500万〜1,000万円未満13.9%
1,000万円以上6.1%

いちばん多いのは100万〜300万円未満で39.8%。300万円未満までを合わせると63.6%です。

そして同じ調査で、「予算を上回った」と答えた人はマンションで27.2%(一戸建てを含む全体では30.1%)。その理由(予算を上回った人が対象・複数回答)の1位は、マンションでは「設備を当初よりグレードアップしたから」で59.5%、2位が「予定よりリフォーム箇所が増えたから」で40.5%でした。「想定外の工事が必要となったから」は15.2%にとどまります。

つまり、予算を超える原因の多くは建物側の事情ではなく、選んでいるうちに欲しくなったものです。ショールームでひとつ上のグレードを見れば、そちらが良く見えます。そのときブレーキになるのは、先に決めておいた上限額だけです。

この調査は「過去3年以内に自分の住まい(自己所有)をリフォームした世帯主」が対象で、中古マンションの購入に合わせたリフォームに限った数字ではありません。購入時のリフォームは空室の状態でまとめて工事できるぶん、範囲が広くなりやすい点はご留意ください。

ショールームでキッチンの扉材のサンプルを手に取って見比べている様子

予算4段階でできること

ここからは、各段階で「できること」「向いている物件」「注意点」を順に見ていきます。

部屋の壁と床の面だけを新しくした状態を示した概念図

① 〜100万円——内装の表層か、水回り1〜2か所か

できることは、内装の表層工事か、水回り設備の単体交換(1〜2か所)のどちらかです。目安は、壁紙の張り替え(全室)が30万〜80万円、床の張り替え(全室)が30万〜100万円。設備側は、トイレの交換が15万〜50万円、洗面台が10万〜50万円、給湯器が15万〜40万円といったところです。

気をつけたいのは、壁紙と床を全室まとめて張り替えると、それだけで100万円前後からが目安になること。それぞれの下限がそろって出ることはまずなく、下地の傷みが見つかれば補修も乗ります。この帯は「内装をひととおり」か「水回りを1〜2か所」のどちらかで、両方は届かないと考えておくほうが、あとで計画が狂いません。

向いている物件は、水回りの設備が新しめで、内装の傷みや前の住人の生活感だけが気になる部屋です。築浅の中古や、売主が設備を交換済みの住戸が当てはまります。

注意点は、床の張り替えです。マンションでは管理規約で床材の遮音等級が決められていることが多く、その指定を満たす材料しか使えません。カーペットからフローリングへの変更が認められていない物件もあります。

交換したばかりのキッチンの前で、使い勝手を確かめている様子

② 100万〜300万円——内装を一新して、水回りも替える

できることは、内装の一新に水回りの交換を組み合わせるところまでです。システムキッチンの交換が50万〜150万円、ユニットバスの交換が60万〜150万円ですので、内装の表層(100万円前後〜)に足していくと、水回りは2〜3か所が現実的な線になります。

キッチン・浴室・トイレ・洗面の4点をまとめて交換すると150万〜400万円が目安で、設備のグレードを上げるほど上のほうへ寄っていきます。つまり4点すべてを替えて、なおかつ内装も全面となると、300万円では収まらないことが多い。この感覚があると、見積もりを見たときに慌てずに済みます。

向いている物件は、間取りに不満はないけれど、設備と内装が全体的に古い住戸です。先ほどの調査でマンションのリフォーム費用がいちばん多く集まっていたのも、この帯でした。

注意点は、水回りの位置を動かすかどうかです。同じ場所での入れ替えなら設備代と工事費で収まりますが、キッチンや浴室を別の場所へ移すとなると、排水管の勾配を確保できるかという建物側の制約が出てきます。そもそも動かせない、あるいは床を上げる大がかりな工事が必要になる、というケースがあります。

3DKや3LDKの壁を撤去してLDKを広げ、2LDK+広いリビングへ組み替える間取り変更の前後を並べた図

③ 300万〜700万円——間取りを変えるフルリフォーム(リノベーション)

できることは、間取りの変更を含む工事です。壁を撤去してLDKを広げる、使っていない和室を洋室にして続き間にする、収納を作り直す——といった内容がこの帯に入ります。目安は300万〜700万円です。

向いている物件は、立地や広さは条件に合うのに、間取りが今の暮らし方に合っていない住戸です。3DKや3LDKを2LDK+広いリビングに組み替える、といった使い方がこの帯の典型になります。

注意点は、抜けない壁があることです。建物が壁式構造の場合、住戸の中の壁でも建物を支えているものがあり、撤去できません。ラーメン構造(柱と梁で支える構造)であれば住戸内の間仕切りは比較的自由に動かせますが、これは物件ごとに違います。間取り変更を前提にするなら、買う前に図面で構造を確かめるのが鉄則です。

マンションのリフォームは、専有部分の中でも管理規約で制限がかかる部分があります。床材・窓・玄関ドア・配管・工事の申請手続きなど、どこにどんな制限がかかるかは中古マンションのリフォームで管理組合が絡む5つの制限にまとめています。

内装を解体して下地と配管がむき出しになった室内を、施主と担当者が見上げている様子

④ 700万円〜——スケルトンリノベーション

できることは、住戸内をいったん解体して、間取りから作り直すことです。ここまで来ると、内装だけでなく専有部分の給排水管・電気の配線・断熱にも手を入れられます。目安は1㎡あたり10万〜20万円で、70㎡なら700万〜1,400万円程度が一つの目安になります。

向いている物件は、立地が良く管理も良好だけれど、室内が全体に古い住戸です。価格が抑えられている築古の物件を選び、浮いた分を工事に回す——この帯は、そういう買い方と相性がいい段階です。

注意点は3つあります。ひとつは、面積で総額が動くこと。同じ「スケルトン」でも60㎡と80㎡では数百万円変わります。ふたつめは、解体してから追加が出やすいこと。壁や床を開けて初めて、配管や下地の傷みが見つかることがあります。みっつめは、工事期間です。この規模になると工事だけで2〜3か月程度かかるのが一般的で、その間は今の住まいの家賃と新居の住宅ローンが重なる期間が出ることもあります。

リフォームは元に戻す方向、リノベーションは作り替える方向の工事という呼び分けを左右に並べた図

「リフォーム」と「リノベーション」はどう違うのか

先に整理しておくと、この2つの言葉に、公的な定義の使い分けはありません。法律や制度でどちらかが定義されているわけではなく、業界と世間の慣習として使い分けられている呼び名です。

一般的には、次のように使われることが多い、という程度に捉えてください。

よく使われている呼び分け
  • リフォーム——古くなった部分を新しくする、元に戻す方向の工事。壁紙の張り替え、設備の交換など
  • リノベーション——間取りの変更や性能の向上をともなう、住まいを作り替える方向の工事

先ほどの4段階に当てはめると、①②が「リフォーム」、③④が「リノベーション」と呼ばれることが多い、というのがおおよその対応です。ただし境目に決まりはありません。300万円の工事を「リノベーション」と呼ぶ会社も、700万円の工事を「フルリフォーム」と呼ぶ会社もあります。

だからこそ、会社選びや見積もりの比較では、呼び名ではなく工事の範囲で見てください。「リノベーションプラン100万円〜」という表示があっても、中身が表層工事なら、この記事でいう①の帯です。

テーブルに3部の書類を並べて、内容を1つずつ見比べている手元

費用を抑えるコツと、物件価格の上限の決め方

費用面で効く4つのこと
  • 見積もりは2〜3社から取る——同じ条件で出してもらうと、項目の抜けと単価の差が見えます。1社だけでは、その金額が高いのか安いのか判断できません
  • 設備は型落ち・展示品も見る——キッチンや浴室は、型落ちやショールームの展示品で費用を抑えられることがあります
  • お金は「あとから変えられないところ」に寄せる——配管・下地・断熱は、壁や床を閉じたら次に手を入れられるのは十数年先です。壁紙・照明・設備のグレードは、住みながらでも変えられます
  • 予備費を工事費の1〜2割みておく——解体して初めて見つかる劣化に備えるお金です。300万円の工事なら30万〜60万円

そのうえで、物件価格の上限の決め方です。順番は逆算になります。

  • 1. 借入額と自己資金から、総額の上限を出す
  • 2. そこからリフォームに回す額(4段階のどれか)と予備費を引く
  • 3. さらに購入諸費用(仲介手数料・登記費用・住宅ローン関連費用など)を引く
  • 4. 残った金額が、物件価格の上限

購入諸費用は物件価格の6〜8%程度が目安です(内訳は中古マンションの諸費用はいくら?内訳7項目にまとめています。引っ越しや家具家電の費用は別枠です)。ここを見落とすと、リフォームに回すつもりだったお金がそのまま消えます。

住宅ローンにリフォーム費用を組み込める「一体型」を扱う金融機関もあります。ただし審査の際に工事の見積書を求められるのが一般的で、物件が決まってからリフォーム会社を探し始めると、この書類が間に合わないことがあります。使う可能性があるなら、物件探しと並行して準備してください。

上限額が決まったら、あとはその範囲で物件を探すことになります。探し方の手順は中古マンションの探し方5ステップにまとめています。

総額の上限からリフォームに回す額・予備費・購入諸費用を引いて物件価格の上限を出す逆算の式

よくある質問

Q100万円の予算でも中古マンションのリフォームはできますか?
A

できます。ただし「内装の表層をひととおり」か「水回りを1〜2か所」のどちらか、という規模感です。壁紙と床を全室まとめて張り替えると100万円前後からが目安ですが、トイレ・洗面台・給湯器といった単体の交換なら、それぞれ10万〜50万円程度で収まることが多い工事です。先ほどの調査でも、マンションのリフォーム費用が100万円未満だった人は23.8%(50万円未満14.5%+50万〜100万円未満9.3%)いました。優先順位を1つか2つに絞れば、十分に成立する予算です。

Qリフォームとリノベーションでは、どちらが高くなりますか?
A

一般的にはリノベーションと呼ばれる工事のほうが高くなります。間取りの変更や、配管・断熱の更新をともなうためで、目安としては300万円以上の帯がこれにあたります。ただし2つの言葉に公的な定義はなく、会社によって呼び方は違います。金額を比べるときは、呼び名ではなくどこまで工事するのか(内装だけか、間取りまでか、配管まで手を入れるか)で見比べてください。

Qリフォーム費用は住宅ローンに組み込めますか?
A

物件の購入資金とリフォーム費用をまとめて借りられる「一体型」を扱う金融機関があります。無担保のリフォームローン単体より金利が低い傾向があり、返済も1本にまとまります。一方で、審査に工事の見積もりや内容の資料が必要になるのが一般的で、取り扱いのない金融機関もあります。使う可能性があるなら、物件探しの段階で金融機関にご相談ください。条件と可否は金融機関ごとに異なります。

Qリフォームの見積もりはいつ取ればいいですか?
A

物件を買う前です。理由は2つあります。ひとつは、その部屋で希望の工事ができるか(構造・管理規約・電気容量)を確かめないと、金額の前提そのものが決まらないこと。もうひとつは、一体型のローンを使う場合、審査に見積もりが必要になることです。物件が決まってからリフォーム会社を探し始めると、見積もりが間に合わず、着工も後ろにずれます。内覧の段階でリフォーム会社に同行や図面確認を頼めると、より確実です。

まとめ——上限を先に決めれば、優先順位が見えてくる

この記事の要点
  • リフォーム費用は〜100万円/100万〜300万円/300万〜700万円/700万円〜の4段階で、できることの範囲が変わる
  • 実際にかかった費用は100万〜300万円未満がいちばん多く39.8%。マンションの平均は316.9万円
  • 予算を上回った人はマンションで27.2%。その理由の1位は「設備のグレードアップ」(59.5%・予算を上回った人の中での複数回答)で、建物側の事情ではない
  • 予算は「物件価格+工事費+予備費(工事費の1〜2割)+購入諸費用」の総額で組み、そこから物件価格の上限を逆算する

工事の種類から積み上げていくと、金額はいくらでも伸びていきます。先に上限を決めておけば、「その中で何を優先するか」という決めやすい話に変わります。リフォーム前提で物件をお探しでしたら、間取り図と管理規約から「その部屋でその工事ができるか」を確かめるところからご一緒できます。

この記事は一般的な費用の目安をまとめたものです。正確な金額は物件と工事内容ごとに異なりますので、リフォーム会社に個別にお見積もりください。 工事の可否と申請手続きについては、管理会社または管理組合にご確認ください。当社は不動産仲介会社であり、リフォーム工事の請負は行っていません。

代表取締役 加川 将嗣
この記事の監修者
代表取締役 加川

株式会社ファンズハウス代表。大阪市を中心に中古マンション・中古戸建ての売買仲介を行っています。専門用語をできるだけ使わず、購入前に知っておきたい情報を実務目線で発信しています。