マンション購入の頭金、親の援助はいくらまで非課税?【2026】
親に頭金を出してもらえそうだけれど、そのお金に贈与税がかかるのではないか。頭金はいくら必要なのかも、はっきりした答えが見つかりません。契約前にここだけは整理しておきたいところです。
親から頭金の援助を受けても、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税を使えば最大500万円(省エネ等住宅は1,000万円)まで贈与税がかかりません(国税庁 No.4508)。暦年課税の基礎控除110万円は別枠なので、その年に他の贈与がなければ合わせて610万円まで税額ゼロです。ただし対象は2026年12月31日までの贈与で、税額ゼロでも翌年3月15日までの申告が必須です。
- 非課税は最大500万円
- 基礎控除と合わせ610万円
- 申告は翌年3月15日まで
親の援助は最大500万円まで非課税——頭金の目安は1〜2割
先に結論をお伝えします。親や祖父母から頭金の援助を受ける場合、「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」を使えば、最大500万円(省エネ等住宅なら1,000万円)まで贈与税がかかりません(国税庁 No.4508)。さらに暦年課税の基礎控除110万円は別枠で使えるので、その年に他の贈与を受けていなければ、合わせて610万円(省エネ等住宅なら1,110万円)までは税額がゼロになります。
一方、頭金そのものの目安は昔から言われるとおり物件価格の1〜2割です。ただし大阪では、頭金を入れずに買っている方も珍しくありません。実績データはマンション購入の年収目安は?何倍が安全かで扱っているので、本記事は援助を受けたときの税金に絞ってお伝えします。

この特例には期限があります
対象は令和6年1月1日から令和8年(2026年)12月31日までの贈与です(国税庁 No.4508)。令和6年度の税制改正で3年間延長された時限措置で、いまのルールで贈与を受けられるのは2026年中までです。援助の話が出ているなら、物件探しと並行して年内の段取りを考えてください(年末に贈与を受ける場合の注意点は後述します)。
非課税限度額は2本立て
| 住宅の区分 | 非課税限度額 | 基礎控除110万円と合わせた枠 |
|---|---|---|
| その他の住宅(中古マンションの多く) | 500万円 | 610万円 |
| 省エネ等住宅 | 1,000万円 | 1,110万円 |
出典は国税庁 No.4508。中古マンションで1,000万円枠を使うには、省エネ・耐震・バリアフリーのいずれかの性能について証明書が必要です。 流通している中古マンションで新たに取れるケースは限られるというのが当社の実感なので、まずは500万円枠を前提に考えるのが現実的です(住宅ローン控除の条件は中古マンション 住宅ローン控除の条件と控除額にまとめています)。

なぜ親からの援助に贈与税がかかるのか
年間110万円を超えてもらうと課税される
贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。暦年課税では1年間にもらった財産の合計から基礎控除110万円を差し引き、残った額に税率をかけます(国税庁 No.4408)。親子であっても例外ではありません。
親や祖父母から18歳以上の子・孫への贈与には、特例税率が適用されます。
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | — |
| 400万円以下 | 15% | 10万円 |
| 600万円以下 | 20% | 30万円 |
| 1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
| 1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
国税庁 No.4408「特例贈与財産用(特例税率)」より抜粋。この上は3,000万円以下45%・4,500万円以下50%・4,500万円超55%と続きます。
500万円もらうと、特例を使わなければ48万5,000円
この表を当てはめます。親から頭金として500万円をもらい、非課税の特例を使わなかった場合、課税価格は500万円−110万円=390万円。税率15%・控除額10万円なので、贈与税は48万5,000円です(国税庁 No.4408 の計算例と同じケース)。援助のうち1割近くが税金で消えることになります。

黙っていれば分からない、ということはありません
不動産の購入は登記で記録に残り、税務署から購入資金の出どころを尋ねる文書(いわゆる「お尋ね」)が届くことがあります。収入や預金の動きと購入額が釣り合わなければ、説明を求められます。援助を受けるなら、最初から非課税の手続きに乗せるほうが確実です。
非課税になるのはいくらまで?500万円と1,000万円の分かれ目
省エネ等住宅の基準——中古マンションは既存住宅の基準で見る
1,000万円枠の対象になる「省エネ等住宅」は、次のいずれかに当たる住宅です(国税庁 No.4508)。
| 区分 | 基準 |
|---|---|
| 新築住宅 | 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上(ZEH水準) |
| 既存住宅(中古マンション) | 断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上 |
| 上記に代えて(共通) | 耐震等級2以上もしくは免震建築物/高齢者等配慮対策等級3以上 |
中古マンションは既存住宅の基準で見るので、新築より緩い等級4で足ります。ただし自己申告では通りません。 住宅性能証明書、建設住宅性能評価書の写し、住宅省エネルギー性能証明書など一定の書類を贈与税の申告書に添付して証明する必要があります(国税庁 No.4508)。しかも中古マンションの場合、これらの証明書は取得の日前2年以内または取得の日以後に家屋の調査が終わったものに限られます(住宅省エネルギー性能証明書は取得の日以後6か月以内)。過去に取った古い書類は使えません。 どの書類で証明できるかは、国税庁の「住宅取得等資金の贈与税の特例に係るチェックシート」でご確認ください。

当社の見立て——まず500万円で組む
性能の証明は建築士等による調査が前提になります。援助の額を決める段階では500万円+基礎控除110万円=610万円を枠として置き、証明が取れそうなら上に積む——この順番が安全です。1,000万円を見込んで証明が取れなかった場合、超えた分に贈与税がかかります。
基礎控除110万円は別枠で残る
非課税の特例を受けた額は、贈与税の課税価格に算入されません。だから基礎控除110万円はそのまま使えます。その年に他の贈与を受けていなければ、500万円+110万円=610万円までは税額ゼロです。逆に、同じ年に親から別の現金や車をもらっていれば、その分だけ110万円の枠は埋まります。

非課税制度を使うための条件
要件は「もらう側(受贈者)」と「家屋」に分かれます。中古マンションで引っかかりやすい順に並べ替えました。
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| 贈与する人 | 直系尊属(父母・祖父母)。配偶者の親(義父母)は該当しない(養子縁組をしている場合は該当する) |
| 年齢 | 贈与を受けた年の1月1日において18歳以上 |
| 所得 | その年の合計所得金額が2,000万円以下(床面積40平方メートル以上50平方メートル未満は1,000万円以下) |
| 床面積 | 登記簿上40平方メートル以上240平方メートル以下、2分の1以上を自分の住まいに使う |
| 築年 | 中古住宅は昭和57年(1982年)1月1日以後に建築。それ以前は耐震基準に適合する証明が必要 |
| 取得期限 | 贈与を受けた年の翌年3月15日までに資金の全額を充てて取得する |
| 居住期限 | 翌年3月15日までに居住、遅くとも翌年12月31日までに居住する |
| 過去の適用 | 平成21年分から令和5年分(2009年分〜2023年分)までにこの特例の適用を受けたことがない(一定の場合を除く) |
| 売主 | 配偶者や親族など特別の関係がある人からの取得でない |
| 住所 | 贈与を受けた時に日本国内に住所がある(一定の例外あり) |
国税庁 No.4508 より。

大阪市の中古マンションで先に見るのは床面積と築年
当社が購入のご相談でまず確かめるのは、この2つです。
- 床面積は登記簿の数字で判定します。 販売図面の面積は壁の中心で測る「壁芯」が一般的で、登記簿の面積より大きく出ます。図面で42平方メートルでも、登記簿では40平方メートルを割ることがあります。 大阪市内はコンパクトな住戸も多いので、単身で検討中の方は申し込み前に登記事項証明書を見てください
- 築年は昭和57年(1982年)1月1日以後の建築かどうか。 住宅ローン控除と同じ線です。昭和56年以前の建築なら、耐震基準適合証明書などが別に必要になります(中古マンションは築何年まで?寿命と3つの判断基準)
40平方メートル以上50平方メートル未満は所得の上限が半分になります
床面積40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅では、合計所得金額の上限が2,000万円ではなく1,000万円です(国税庁 No.4508)。コンパクトな住戸を検討している方は、面積と所得の2つを合わせて見てください。

非課税枠を超えて援助を受けたらどうなるか
610万円を超える援助を受ける場合、超えた分の扱いには3つの道があります。
① 暦年課税のまま贈与税を払う
超えた分に、先ほどの特例税率がかかります。500万円枠を使った場合と、使わなかった場合の税額を並べます。
| 親からの援助額 | 基礎控除後の課税価格(特例あり) | 贈与税額(特例あり) | 特例を使わなかった場合 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 0円 | 0円 | 48万5,000円 |
| 610万円 | 0円 | 0円 | 70万円 |
| 700万円 | 90万円 | 9万円 | 88万円 |
| 800万円 | 190万円 | 19万円 | 117万円 |
| 1,000万円 | 390万円 | 48万5,000円 | 177万円 |
| 1,500万円 | 890万円 | 177万円 | 366万円 |
当社試算(その年に他の贈与がなく、500万円枠と基礎控除110万円を使った場合。右端は特例を使わず暦年課税だけで計算した額)。1,000万円の援助なら、特例を使えば48万5,000円、使わなければ177万円で、差は128万5,000円です。 他の贈与の有無や住宅の区分で実際の税額は変わります。

② 相続時精算課税を選ぶ
贈与を受けた年の1月1日に18歳以上の子・孫が、60歳以上の父母・祖父母から贈与を受ける場合に選べる制度です。令和6年1月1日以後の贈与では年110万円の基礎控除があり、それを超える部分に累計2,500万円の特別控除、さらに超えた部分に一律20%の税率がかかります(国税庁 No.4103)。
住宅取得等資金の贈与の場合は、贈与者がその年の1月1日に60歳未満でも相続時精算課税を選択できる特例があります(国税庁 No.4503・令和8年12月31日までに取得した資金が対象)。非課税の特例との併用もできます(非課税枠を超えて贈与税の課税価格に算入される部分がある場合)。
相続時精算課税は撤回できません
一度選択すると、その贈与者からの贈与はその年分以降すべて相続時精算課税になり、暦年課税に戻すことはできません(国税庁 No.4103)。基礎控除を超えた贈与額は、相続のときに相続財産へ加算されます。目先の贈与税だけでなく将来の相続まで含めた判断になるので、選ぶ前に税理士にご相談ください。 届出書(相続時精算課税選択届出書)の提出期限も、最初の贈与の翌年2月1日から3月15日まで。2,500万円の特別控除も期限内申告が要件です。
③ 「もらう」以外の形にする
そもそも贈与の形を取らない方法もあります。
- 親から借りる — 金銭消費貸借契約書を作り、返済期間と金利を定めて実際に返済します。返済の実績がない「あるとき払い」は、贈与とみなされます
- 親も名義に入れる(共有) — 出した金額の割合で持分を登記すれば、その部分は親自身の購入なので贈与になりません。ただし親の相続のときに、その持分が相続財産になります(マンション購入の名義、夫婦の持分とペアローン)
どれが有利かはご家族の事情で変わります。当社では持分の決め方まで含めて、ご一緒に整理しています。
手続きの流れ——税額ゼロでも申告しないと使えない
翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告書を出す
ここが一番の落とし穴です。非課税の範囲内で税額がゼロでも、申告しなければこの特例は使えません。
非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に戸籍の謄本、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります(国税庁 No.4508)
添付するのは、戸籍の謄本、合計所得金額を確認できる書類、売買契約書の写しなど。登記事項証明書は、申告書に不動産番号を記載することなどにより添付を省略できます(国税庁 No.4508)。省エネ等住宅で1,000万円枠を使う場合は、前述の証明書も付けます。

「翌年3月15日」が2回出てきます
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2026年中 | 親から資金の贈与を受ける(年内の贈与がいまのルールの対象) |
| 2027年3月15日まで | 資金の全額を充てて物件を取得し、居住する(遅くとも2027年12月31日まで) |
| 2027年2月1日〜3月15日 | 贈与税の申告書を提出する |
2026年12月に贈与を受けると、取得・居住・申告のすべてが2027年3月15日に向かって重なります。年末の贈与は段取りがかなりタイトになるので、物件が決まっていない段階で先に資金だけ動かすのは避けてください。
先に自分で払って、後から返してもらう形は対象外です
特例の対象は「自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の対価に充てるための金銭」(国税庁 No.4508)です。すでに自分で支払った代金を後から親に補填してもらう形は、対価に充てるための資金とは言えません。贈与 → 決済の順番を守ってください。
住宅ローン控除の金額が減ることがあります
住宅ローン控除の計算では、この特例(または住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例)を適用した住宅取得等資金の額を、住宅の取得等の対価の額から差し引きます(国税庁 No.1211-3)。年末残高が差し引き後の取得対価を上回ると、上回った分は控除の対象になりません。援助を頭金に充てるか、借入を減らさずに手元へ残すかは、控除額まで含めて比べてください。
よくある質問
なります。対象は直系尊属からの贈与なので、父母だけでなく祖父母からの贈与も含まれます(国税庁 No.4508)。一方で配偶者の親(義父母)は直系尊属ではないため対象外です。夫の親から妻へ、という形では使えません(ただし配偶者の親と養子縁組をしている場合は直系尊属に当たるため、対象になります・国税庁 No.4508)。
要件はもらう人ごとに判定されるので、夫が夫の親から、妻が妻の親から、それぞれ非課税の特例を使うことは可能です。ただしそれぞれが住宅を取得していること(持分を持つこと)が前提になり、出した資金の額と登記する持分の割合を合わせる必要があります。持分の決め方はマンション購入の名義、夫婦の持分とペアローンをご覧ください。個別の判定は所轄の税務署にご確認ください。
いいえ。非課税限度額以下であっても、原則として申告が必要です(国税庁 No.4508)。期限は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで。申告を忘れると特例が使えず、もらった額がそのまま贈与税の対象になります。
贈与を受けた年の翌年3月15日までに取得できていない場合や、翌年12月31日までにその家屋に居住していない場合は、原則としてこの特例の適用を受けられず、修正申告が必要になります(国税庁 No.4508)。中古マンションの引き渡しは売主のご都合で動くことがあります。年明けの決済を予定している場合は、とくに余裕を見てください。
平成21年分から令和5年分(2009年分〜2023年分)までの贈与税の申告でこの特例の適用を受けたことがある場合は、原則として使えません(一定の場合を除きます・国税庁 No.4508)。買い替えで2度目の購入をされる方は、過去の申告内容を確認してください。
まとめ:頭金は「いくら必要か」より「非課税枠をどう使うか」
- 親・祖父母からの頭金援助は最大500万円(省エネ等住宅は1,000万円)まで非課税。基礎控除110万円と合わせて610万円(同1,110万円)までは税額ゼロ
- 対象は2026年12月31日までの贈与。中古マンションで押さえるのは登記簿40平方メートル以上と昭和57年(1982年)1月1日以後の建築の2点
- 税額ゼロでも、翌年2月1日〜3月15日の申告が必須。贈与 → 決済の順番と、翌年3月15日までの取得・居住を守る
- 610万円を超える分は、暦年課税・相続時精算課税・借入や共有名義の3つを比べて決める
援助の額が決まれば借入額が決まり、住宅ローン控除の見通しも変わります。控除の条件は中古マンション 住宅ローン控除の条件と控除額に、購入時にかかる税金の全体像は中古マンション購入でかかる税金まとめにまとめています。
この記事は制度の一般的な説明です。実際に特例が使えるか、いくら非課税になるかは、物件と贈与の内容によって変わります。正確な判定と税額は所轄の税務署(個別の税額計算は税理士)にご確認ください。 住宅ローンの条件面は金融機関にご確認ください。




