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中古マンション売却

不動産売却の業者選び方|後悔しない3つの基準【2026年最新】

売却を考えはじめて最初に立ち止まるのが、「どの会社に頼めばいいのか」です。査定を申し込めば数字は並びますが、その数字が何を根拠にした金額なのかは書かれていません。大手がいいのか、地元の会社がいいのか、専任と一般はどちらが得なのか——比べる物差しがないまま、いちばん高い金額を出した会社を選んでしまいそうになります。

不動産売却の業者選び方|後悔しない3つの基準【2026年最新】
結論 — この記事の答え

業者選びで見るべきは査定額の高さではありません。①査定の根拠を近隣の成約事例で説明できるか ②レインズの登録状況を売主に開示するか ③その地域で売った実績があるか——この3つの基準で絞り込めます。2025年1月からは、(専属)専任媒介で登録した物件の取引状況をレインズに登録することが義務になり、売主自身が登録証明書の二次元コードから物件の状況を確認できるようになりました。確かめる手段は、売主の側にあります。

この記事でわかること
  • 高い査定額の落とし穴
  • 囲い込みの見抜き方
  • 媒介契約3種類の選び方
読み終える頃には、査定書のどこを見て会社を比べればいいかが分かり、専属専任・専任・一般のどれを選ぶかを自分の事情から判断できるようになります。
公開: 更新: 読了目安:11分
代表取締役 加川 将嗣
この記事の監修者
代表取締役 加川
宅地建物取引士|大阪市で中古住宅の売買仲介を担当

不動産売却は「どの業者に頼むか」で価格もスピードも変わる

同じマンションの同じ部屋でも、売却を任せる会社によって、成約するまでの期間も最終的な金額も変わります。売り出し価格の決め方、レインズへの出し方、他社からの問い合わせへの対応——そのすべてを担当する会社が握っているからです。

では何を見て選べばいいのか。先に結論をお伝えします。

良い業者を見極める3つの基準
  • ① 査定の根拠を、近隣の成約事例で説明できるか
  • ② レインズの登録状況を、売主に開示する姿勢があるか
  • ③ その地域で売った実績と、動きの速さがあるか

会社の規模でも、担当者の感じの良さでもありません。この3点は査定の面談1回で確かめられ、答えられるかどうかはその場で見えてきます

良い業者を見極める3つの基準(査定の根拠・レインズの登録状況の開示・地域の実績と動きの速さ)を番号順に並べた図

業者選びでつまずきやすい2つのパターン

ご相談をうかがっていて多いのが、次の2つです。

ひとつめは、査定額がいちばん高い会社を選んでしまうこと。査定額は売れる金額の保証ではなく、その会社の「見立て」にすぎません(次章で詳しく触れます)。

ふたつめは、大手か地域密着かで悩んで動けなくなること。この二択に正解はありません。どちらの看板であっても、上の3つの基準を満たしているかどうかで判断すれば足ります。実際に売却の作業をするのは会社ではなく、目の前の担当者です。

テーブルに置かれた2枚の書類の一点を指し示しながら見比べている手元の写真

なぜ業者によって売却の結果が変わるのか

「仲介はどこに頼んでも同じ物件を売るだけでは」と思われるかもしれません。ところが、差が出る仕組みがはっきりあります。

査定額は「売れる金額」ではなく、その会社の見立て

査定額は、近隣で実際に成約した事例をもとに、方角・階数・専有面積・管理状態などの違いを調整して算出します。ここで使う事例の選び方と調整の幅は各社の判断なので、同じ物件でも金額に開きが出ます。

問題は、この見立てに「売却の依頼を取りたい」という動機が入り込むことです。高い金額を出せば依頼をもらいやすくなります。そうした前提で出された査定額は、根拠を尋ねたときの説明が薄いことがあります。そして根拠の薄い高値で売り出すと反響が取れず、値下げを重ねた末に、はじめから相場で出した場合より安く、しかも時間をかけて売ることになりかねません。

査定額に法的な拘束力はありません。その金額で売れなかったとしても、不動産会社が責任を負うわけではないのです。だからこそ、金額そのものより「なぜその金額なのか」を確かめる必要があります。

売主から依頼した会社で物件の情報が止まり、他社や買主候補に届かない囲い込みの流れを示した図

「囲い込み」があると、買主に届く前に情報が止まる

もうひとつが囲い込みです。国土交通省は売主向けのリーフレットで、次のように説明しています。

【引用】「囲い込み」とは、一部の宅建業者が自社の利益のため、売主・買主双方の媒介を行うことを目的として、故意に物件の取引状況を隠し、売主の意向に反して物件の紹介を行わないような行為を指します。こうした行為は、早期の成約可能性を狭め、売主や買主の利益を損なう可能性があり、市場の公正を害するものです。
(出典: 国土交通省「宅地や建物の(専属)専任媒介契約を締結したらレインズの『ステータス管理機能』を活用しましょう!」2024年12月24日公表)

売主から見ると、自分の物件が他社の買主候補に紹介されていない状態です。買いたい人の母数が減るので、売れるまでの期間は延び、価格も下がりやすくなります。売主には見えないところで起きるため、「なかなか売れませんね」という報告だけが続くことになります。

商談テーブルで資料の一点にペン先を置き、相手に説明しているスタッフの写真

良い業者を見極める3つの基準

冒頭の3点を、査定の面談でどう確かめるかまで具体的に見ていきます。

基準① 査定の根拠を、近隣の成約事例で説明できるか

査定書を受け取ったら、「この金額の根拠になった成約事例を見せてください」と聞いてください。良い会社なら、同じマンションや近隣の物件が、いつ・いくらで・何平米で成約したかを一覧で示せます。レインズには成約事例が蓄積されているので、会員である宅建業者なら誰でも調べられる情報です。

確かめたいのは、次の3点です。

査定の根拠として確認したいこと
  • 事例が直近1〜2年以内か(古い事例は今の相場を映さない)
  • 事例が同じマンションか徒歩圏の類似物件か(駅や築年数が離れていないか)
  • 事例と対象物件の違いをどう調整したか(階数・方角・面積・リフォームの有無)

ただし、同じマンション内の事例であれば、多少期間が空いていても参考になります。その場合は「この2年で相場がどう動いたか」をあわせて説明できるかを見てください。

「経験上このくらいです」「今は相場が上がっているので」といった説明しか返ってこない場合は、根拠が示されていないと考えて差し支えありません。

レインズ登録から登録証明書の二次元コード、売主専用画面で取引状況を確認するまでの3段階の流れを示した図

基準② レインズの登録状況を、売主に開示する姿勢があるか

2025年1月1日から、宅地建物取引業法施行規則の改正により、(専属)専任媒介契約でレインズに登録した物件について、宅建業者は取引状況を登録することが義務づけられました。登録される取引状況は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3種類です。

さらに2025年1月4日からは、レインズに登録した際に売主へ交付される登録証明書に二次元コードが記載され、売主は「売主専用画面」で自分の物件の登録内容と取引状況を自分で確認できるようになりました。画面を開く際は、証明書に記載された確認用のIDとパスワードが必要です。

つまり、囲い込みを見抜く手段が売主の側に用意されたということです。契約前に、「レインズの登録証明書はいつ渡してもらえますか」「売主専用画面で取引状況を確認したいのですが」と聞いてみてください。すぐに「もちろんです」と返ってくるか、話をそらすかで、その会社の姿勢は分かります。

レインズへの登録が法律上の義務なのは(専属)専任媒介契約の場合です。一般媒介では登録義務がないため、登録されなければ証明書も出ません。任意で登録してもらえば登録証明書は発行されますが、取引状況(ステータス)の登録義務と売主専用画面での確認は、(専属)専任媒介で登録された物件が対象です。一般媒介を選ぶ場合は、任意でレインズに登録してもらえるか進捗の報告をどの頻度で受けられるかを契約前に確認してください。

壁に貼られた大きな図面の前に立ち、一点に触れながら話している男性の写真

基準③ その地域で売った実績と、動きの速さがあるか

3つめは、そのエリアでの売却実績です。大阪市内であれば、同じ市内でも区によって買い手の層も相場の動き方も違います。住之江区や住吉区の中古マンションを何件扱ってきたか、直近ではどのくらいの期間で成約したか——具体的な件数と期間で答えられるかを見ます。

あわせて確かめたいのが、動きの速さです。査定の依頼をしてから返答までに何日かかったか、質問へのメールの返信がいつ来るか。売り出したあとの問い合わせ対応も、同じ速度で行われると考えて構いません。買いたい人からの内覧希望は、返事が遅いだけで他の物件に流れます。

専属専任・専任・一般の媒介契約3種類を、他社への依頼・自己発見取引・レインズ登録・報告の4点で並べた図

媒介契約3種類の違い(専属専任・専任・一般)

会社を絞り込んだら、次は契約の形を決めます。宅地建物取引業法が定める媒介契約は3種類で、違いは次のとおりです。

専属専任媒介専任媒介一般媒介
他社への重ねての依頼できないできないできる
自分で見つけた相手との直接取引できないできるできる
契約の有効期間3か月以内3か月以内法令上の制限なし(行政指導は3か月以内)
レインズへの登録義務契約日の翌日から5日以内契約日の翌日から7日以内義務なし(任意登録は可)
業務処理状況の報告1週間に1回以上2週間に1回以上法令上の義務なし

※ レインズ登録の日数は、いずれも宅建業者の休業日を除いて数えます。報告の方法は、国土交通省の標準媒介契約約款で文書または電子メールと定められています(実際の取り扱いは契約書の記載によります)。

拘束が強いほど、会社側の義務も重くなる——という関係になっています。専属専任は他社に頼めず自分で買主を見つけることもできませんが、その代わり登録は5日以内、報告は週1回以上と、いちばん手厚く動くことが求められます。

専任媒介で自分が見つけた相手と直接契約した場合、契約書の約款に基づいて、それまでの活動にかかった費用(実費)の償還を求められることがあります(請求額は約定報酬額=仲介手数料が上限です)。専属専任媒介はそもそも自己発見取引ができない契約で、それでも直接契約すると、約定報酬額(仲介手数料)に相当する額を違約金として請求されることがあります。 金額の桁が変わりますので、自分で買主を見つける可能性が少しでもあるなら、契約前に約款のその条項を確認してください。

どの契約形態が自分に向いているか

先ほどの3つの基準に照らすと、選び方はこう整理できます。

契約形態の選び方
  • 信頼できる1社が見つかった → 専任または専属専任。レインズ登録と定期報告の義務があるぶん、進捗が把握しやすい
  • 親族や知人に買ってくれそうな人がいる → 専任(自己発見取引ができる。専属専任は不可)
  • 複数社を競わせたい → 一般。ただし各社に「自社が売れるとは限らない」意識が働き、広告費をかけてもらいにくい面がある

一般媒介は自由度が高い一方で、レインズ登録も報告も法令上の義務がないため、売主が自分で各社に進捗を確認しにいく必要があります。手間を許容できるかどうかが分かれ目です。一般媒介を選ぶなら、任意でのレインズ登録を依頼し、報告の頻度と方法を契約時に決めておくと、義務がないぶんの不足を埋められます。1社に絞るなら、上の3基準を満たす会社を専任で任せ、3か月の期間満了時に見直す——という進め方になります。

書類の一点を指すスタッフの手と、老眼鏡をかけてのぞきこむ男性の写真

注意したい業者のサインと、その場での確かめ方

契約前に気づけるサインがあります。次の2つに当てはまったら、いったん保留にしてください。

相場からかけ離れた査定額を、根拠なく提示してくる

他社より数百万円高い金額が出てきたら、その差額の理由を必ず聞いてください。「この住戸だけリフォーム済みで、直近の成約事例より◯万円高く出せる」といった説明が成約事例つきで返ってくるなら妥当です。一方、「うちは販売力があるので」「まず高めに出してみましょう」という説明しかないなら、依頼を取るための金額である可能性があります。

売り出しから時間が経つほど、買い手からは「売れ残った物件」と見られ、値引きの余地があると判断されやすくなります。

レインズの登録証明書や活動報告について、はぐらかす

(専属)専任媒介では、レインズに登録したあと遅滞なく登録証明書を売主に交付すること、そして定期的に業務処理状況を報告することが法律上の義務です。これらについて「後でお渡しします」が続いたり、報告が口頭だけで済まされたりする場合は、その時点で確認してください。報告の方法は、国土交通省の標準媒介契約約款で文書または電子メールと定められています。

売り出し後であれば、登録証明書の二次元コードから売主専用画面を開いて、取引状況が実際にどう登録されているかを見てください。自分から売り止め(一時停止)をお願いした覚えがないのに「売主都合で一時紹介停止中」になっているなら、その理由を担当者に尋ねる場面です。

複数社への査定依頼から訪問査定、契約前の質問、媒介契約の締結までの4つの手順を順に並べた図

業者選び〜媒介契約締結までの進め方

ここまでを実際の手順に落とすと、次の流れになります。

まず複数社に査定を依頼して比べる

査定は3社前後が目安です。1社だけでは金額が高いのか安いのか判断できず、5社を超えると比較しきれずに対応の負担が増えます。

一括査定サイトを使う場合は、申し込んだ直後から複数社の電話が重なる点を見込んでおいてください。連絡が取りやすい時間帯を備考欄に書いておくと負担が減ります。また、サイトに参加している会社の中から選ぶことになるため、地元で長く営業している会社が含まれていないこともあります。気になる会社があれば、直接申し込む方法と併用するのが確実です。

査定は、可能なら訪問査定を選んでください。図面と相場データだけで出す机上査定と違い、室内の状態や眺望、共用部の管理状況まで見たうえでの金額になります。会社の見立ての質を比べるには、この違いが大きく効きます。

契約前に確認しておきたいこと

面談の場で、次を聞いてください。売主から質問されて困る会社は、任せたあとも同じです。

媒介契約を結ぶ前に聞くこと
  • この査定額の根拠になった成約事例を見せてもらえますか
  • レインズの登録証明書はいつ交付されますか(一般媒介なら、任意で登録してもらえますか)
  • 進捗の報告はどの頻度・どの方法で届きますか
  • この物件をどう売りますか(広告の出し先・内覧の想定・売り出し価格の設計
  • この地域で直近に売った物件は何件で、成約までどのくらいかかりました

答えの中身も大事ですが、その場で答えられるかどうかがより多くを語ります。手元の資料で即答できる担当者は、日頃からその地域の相場を見ています。

ノートに万年筆で箇条書きを書き足している女性の手元の写真

よくある質問

Q媒介契約は途中で変更・解約できますか?
A

専属専任・専任媒介の有効期間は最長3か月で、期間が満了すれば契約は終わります。更新するには依頼者からの申出が必要なので、業者の判断で自動的に延長されることはありません。会社を変えたい場合は、更新せずに期間満了を待つのがもっとも問題が起きにくい方法です。期間の途中で解約したい場合は、契約書の解除条項の確認が必要で、それまでにかかった広告費等の償還を求められることがあります。まずは契約書の約款をご確認のうえ、担当者に申し出てください。

Q一括査定サイトは使うべきですか?
A

複数社の見立てを短時間で集める手段としては有効です。一方で、申込直後に各社から一斉に連絡が来ること、参加している会社の中からしか選べないことは押さえておいてください。サイトはあくまで候補を集める入口で、選ぶ基準は本記事の3点(査定根拠・レインズ開示・地域実績)で変わりません。集めた査定額を比べるのではなく、根拠の説明を比べてください。

Q大手と地域密着の会社、どちらがいいですか?
A

どちらが上ということはありません。大手は広告の露出と知名度、地域密着は特定エリアの相場観と買い手のつながりに強みがあります。ただし実際に動くのは目の前の担当者なので、看板ではなく担当者が3つの基準を満たすかで判断してください。同じ会社でも、その地域を長く担当している人とそうでない人では、査定の根拠の厚みが変わります。

Q査定額がいちばん高い会社に頼むべきですか?
A

査定額の高さだけで選ぶのは避けてください。査定額は売れる金額の保証ではなく、その会社の見立てです。高すぎる価格で売り出すと反響が集まらず、値下げを重ねた末に、はじめから相場で出した場合より安く売れてしまうことがあります。根拠のある金額を出した会社を選び、売り出し価格は相談して決めるのが結果的に近道です。

まとめ——後悔しない業者選びは、この3点で足りる

この記事の要点
  • 業者選びの基準は①査定根拠を成約事例で説明できるか ②レインズの登録状況を開示するか ③地域の売却実績と対応の速さの3つ
  • 査定額は売れる保証ではなく見立て。高さではなく根拠を比べる
  • 2025年1月から、(専属)専任媒介で登録した物件は取引状況のレインズ登録が義務。登録証明書の二次元コードから売主自身が確認できる
  • 媒介契約は拘束が強いほど業者の義務も重い。1社に任せるなら専任・専属専任、自分で買主を見つける可能性があるなら専任

3つの基準は、どれも査定の面談1回で確かめられます。金額の大小に気を取られる前に、「その根拠を見せてください」の一言から始めてください。当社でも、査定の際は根拠にした成約事例をお見せしたうえで金額をご説明しています。

この記事は制度の一般的な説明です。媒介契約の具体的な条件や解約時の取り扱いは契約書の約款によって異なりますので、契約の前に不動産会社にご確認ください。

代表取締役 加川 将嗣
この記事の監修者
代表取締役 加川

株式会社ファンズハウス代表。大阪市を中心に中古マンション・中古戸建ての売買仲介を行っています。専門用語をできるだけ使わず、購入前に知っておきたい情報を実務目線で発信しています。